福山市の内科・糖尿病内科・消化器内科

はまもと内科クリニック

生活習慣病について

生活習慣病とは

生活習慣病とは2型糖尿病、および高血圧、脂質異常症(高脂血症)、高尿酸血症など、生活習慣が元になって発症する疾患の総称です。
これらの最大の特徴は、平常は無症状であることです。検診などで偶発的に見つかることが多く、「痛くもかゆくもないから」と5年10年放置している内に、内臓の障害が進行し、ある日突然心筋梗塞や脳梗塞などの重大な合併症となって表れます。

「痛くもかゆくもないもの」をわざわざ検診などで調べて見つけてくるのは、早期治療によってこれらの合併症を未然に防ぐためなのです。

治療法

治療は薬を飲めば簡単です。
しかし、元になっている生活習慣が変わらないと、薬も本来の効果を発揮できません。
当院の特徴は、ビジネス界やスポーツ界で用いられているコーチングという対話法を用いて、「一方的な指導」ではなく、相手の「価値観」や「意思」を尊重し、出来ることから無理なく始め、成功体験を積み上げていく、「自分は出来る」という自信をつけることを重要視していることです。
これによって使用する薬剤は最小限で済み、またこれまで多数の薬剤を服用していた方でも、少しでも薬剤を減らせる可能性があります。

糖尿病

あなたにとって糖尿病とはどんなイメージでしょうか?
「ピンとこない」「大変なことになった」「人に知られたくない」などなど、人によって感じ方は様々だと思います。

糖尿病の種類

糖尿病には原因不明または免疫異常によって発症する1型と、生活習慣によって発症する2型の2種類がありますが、規則正しくバランスの良い食事と適度な運動を心がけるという点では治療法は同じです。

またいずれも風邪のような一時的な疾患ではありませんので、一度診断が確定したら「治す」というよりは、長い時間をかけて正常に近い状態に近づけていく(コントロールする)ことが目標となります。

この先長い付き合いになるとしたら、あなたは「何のために治療をするのか?」「将来どうなりたいのか?」「そのためにどうするのか?」「譲れないことは何か?」。これらのイメージが明確になると、治療のモチベーションが上がり、良い血糖値を維持するとともに、合併症を予防することが出来ます。

治療法

現在治療法は、20数年前と比べれば内服薬も注射薬も何倍もの種類があり、色々な組み合わせで使用することが出来ます。
それぞれの薬剤に特徴があり、一緒に使用しても効果の薄いものや、低血糖の危険性があるものなど様々です。1日3回も内服できない、毎日注射は難しいなど、何かお困りの場合は一度専門医にご相談ください。

高血圧

高血圧の原因

高血圧の原因の多くは塩分の取りすぎ、肥満、飲酒、喫煙、運動不足、野菜不足、遺伝的な体質によるものです。

塩分については、「自分はそんなに摂ってない」と言われる方が多いのですが、一般に食塩摂取量の平均値は1日あたり10グラム(男性11.0グラム、女性9.2グラム)という調査結果があります(平成27 年国民健康・栄養調査)。これに対して日本高血圧学会のガイドライン(2014年版)では、1日6グラム未満を目標としています。

これは多くの高血圧患者で減塩の試験をして、確実に血圧が下がった値を参考にして決められています。塩分摂取が多いと、せっかく降圧薬を飲んでも十分な効果が出ません。ですから、現在の約3分の2以下が目安になります。

ではどんな食べ物に塩分が多いのか?
平成24年国民健康・栄養調査のデータでは、インスタント麺、梅干し、漬物、佃煮、明太子、塩サバ・サケ、干物、キムチなどが塩分の多い食品の上位を占めています。このほか味噌汁やすまし汁も、1杯2グラム、薄めでも1グラムの塩分が含まれていますので、1日に飲む回数に気を付ける必要があります。

まれな高血圧

また高血圧の約1割は二次性高血圧と言われており、甲状腺や腎臓、副腎ホルモンの異常が原因となります。
これらはホルモンの生成を抑える薬剤を服用したり、狭くなった血管を広げたり、腫瘍を摘出することによって治る可能性があります。高血圧の治療を開始する前に一度血液検査で調べておくと良いでしょう。

血圧の測り方

ちなみに家庭血圧は朝起床時、トイレ後に測りましょう。
時間が経つとともに、また日常活動を開始すると数値は変動します。

また目標値は年代や合併する疾患によって異なります。
年齢に90を足すという計算方法は20年くらい前の基準です。
2019年版の目標値は表を参考にしてください。
(2014年版と比べて、合併症のない75歳未満の成人・75歳以上の高齢者の目標値が下げられています)

注)脳血管障害のある人(1):両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし
  脳血管障害のある人(2):上記の狭窄や閉塞があるか、または未評価

? 診察室での血圧 家庭での血圧

75歳未満の成人
糖尿病のある人
脳血管障害のある人(1)
冠動脈疾患のある人
腎機能障害のある人(尿蛋白陽性)
抗血栓薬を服用中の人

130/80未満 125/75未満

75歳以上の高齢者
脳血管障害のある人(2)
腎機能障害のある人(尿蛋白陰性)

140/90未満

135/85未満

脂質異常症(高脂血症)

原因

血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が多すぎたり、HDL(善玉)コレステロールが少なくなる病気です。
原因としては食事の偏りや飲酒、閉経、遺伝(家族性高コレステロール)などがあります。

治療法

数値が高いと聞くと真先に「運動不足ですか?」とお尋ねになる方が多いのですが、まずは食事の改善です。

食事の全体量を控えるとともに、脂身の多い肉や乳製品、卵黄、菓子類、アルコールを控え、魚類・大豆製品・野菜・海藻を増やすことを心がけましょう。
これに適度な運動を行っても改善しない場合は、脂質治療薬が必要です。

「薬が怖い」と言われる方がおられますが、頻用されているスタチン系の薬剤は、動脈硬化の予防のみならず、一見無関係のように思えるがん・認知症・骨粗しょう症などの予防効果も期待できるとの報告があります。
また「コレステロールは高い方が長生きするのでは?」という質問もよく受けますが、コレステロールが低すぎる方は進行した癌や肝硬変による栄養不良が原因となっている場合が多く、治療薬による弊害ではありません。
脂質の目標値は併存する疾患によって一人一人異なりますので、詳しくは主治医へお尋ねください。

肥満症

肥満の基準

肥満とは体格指数(BMI)※が25を超えた状態で、更に肥満に起因する健康障害が既に出ており、減量を必要とする状態を肥満症と言います。

肥満症は更にBMIの値によって25~35と35以上に二分され、後者の高度肥満症では睡眠時呼吸障害や心不全、肥満関連腎臓病、運動器疾患、静脈血栓症、皮膚疾患などが生じやすく、また精神的問題を伴っていることも多く、個々人に応じた治療・管理が必要とされます。

目標体重

ではどのくらい痩せたらいいのか?
理想はその人の二十歳の時の体重ですが、現在の体重との間に10~20kg差がある方もざらで、非現実的であることが多いため、まずは肥満症では現体重の3%、高度肥満症では5~10%が目標となります。
これは2008年に開始された特定健康診査・特定保健指導の成績が元になっており、1~3%の減量でコレステロールや中性脂肪、HbA1c、肝機能の有意な改善が認められ、3~5%の減量で血圧、尿酸、空腹時血糖の有意な改善が認められるためです。

減量法

痩せるための方法は、一に食事療法、二に運動、三四がなくて五に手術。
食事療法は糖質制限や○○ダイエットなど、色々な流派がありますが、共通していることは1日の総摂取カロリーを減らすことです。

とはいえ「○○を抜く」や「○○だけを食べる」といった偏った食事療法は、新たな別の代謝異常を引き起こすことがありますので、要注意です。

まずは栄養指導を受けて、総カロリーが多くなっている原因を探しましょう。
もし6か月経過しても食事・運動療法の効果が十分でない場合、現在日本で使用できる有効な薬剤は乏しく、一部条件を満たした方で減量手術が可能です。
手術の方法は、胃をバナナ大に縫い縮める方法や、腸を一部切ってつなぎ直す方法などがあります。手術は認可を受けた医療機関でのみ行われ、保険適応となる場合と自費診療となる場合がありますので、紹介希望の方はご相談ください。

※BMIの計算式=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

高尿酸血症

尿酸値の目安

血液の尿酸値は7.0mg/dl以上が高尿酸血症と呼ばれます。
これ以上の数値が持続すると、関節に痛風発作が起きる原因になります。
そのため、すでに痛風発作を起こしたことがある人は7.0mg/dl未満に下げる必要があります。

また痛風はなくとも、高尿酸血症は動脈硬化や腎機能障害の進展にも加担しますので、合併症※を有する人は、8.0mg/dl以上で治療の対象となります。
さらに、これらの合併症がなくとも、9mg/dl以上になった場合は治療が必要になります。

※合併症とは、糖尿病、高血圧、脂質異常症、腎機能障害、冠動脈疾患、尿路結石、メタボリックシンドローム等を指します。

食事で気を付ける事

薬を飲む前に、まず食生活としては、アルコールを飲まれている方はそれを控えることが先決です。
「ビールを焼酎に変えたら良いですか?」とよく聞かれますが、プリン体自体は減るものの、アルコールの分解過程で尿酸が産生されますので、結局尿酸値は上昇します。

またアルコールは飲まないという場合、肉類・魚介類・枝豆の食べ過ぎも尿酸値が上昇する原因となります。
よくある最強の組み合わせはビール、枝豆、焼き肉(ステーキ)です。このある意味「3種の神器」にはご注意を。